FC2ブログ

就活はつらいよ(最終話)

最終合格したその日は家で乾杯をした。長男は家にいない(大学のある仙台にいる)ので一緒に乾杯をすることはできない。LINEで乾杯の写メを長男に送ると、長男も乾杯している画像を送ってきた。

長男の応援している楽天イーグルスが負けている、と彼は嘆いていたが、「今日は大抵のことは許せるだろう」と伝えると、「まあね」と返ってきた。だって、今日は苦労して合格を勝ち取った日なんだもの。その事実は世の中のほとんどをバラ色に塗り替えてしまう魔法のようなものだ。

こうして、長男は就職戦線から無事帰還することとなった。思えば、辛く長い日々だった。

僕は当初、公務員試験を受けるにしても、民間も併願した方が良いのでは、と考えていた。しかし、長男の就活を通して感じたことは、民間を併願しなくて返って良かったのかもしれない、ということだ。

公務員の就活はやることが山ほどある。では、民間企業の就活はどうだろう。それはきっと同じで、やることはメガ盛りだ。それを試験の数だけこなさなければならない。

公務員と民間を両方追っていたら、下手をしたら共倒れになっていたかも知れない。まさにリアル「二兎を追うものは一兎も得ず」である。そのくらい大変だということだ。

公務員は筆記試験の準備が大変だ。しかし、民間だって筆記試験はある。

そして、筆記試験の後はエントリーシート作成という難題が待ち構えている。

エントリーシート以外にも面接対策や小論文対策(公務員試験には小論文が付き物なのだ)もしなくてはならない。

楽天という企業のポリシーの一つに「用意周到」という言葉があるらしい。それは目標達成の大きな助けになるものだと思うし、すべてのことに通じることだ。

そして、就活という人生を左右するような大きなチャレンジにおいてこそ「用意周到」というものが一層大切になってくる、そう思うのだ。ただ漠然と面接に臨むのではなく、「こういう質問にはこう答えよう」という用意周到な準備が大切だ。

民間でも公務員でも面接に際しては相手のことをしっかりと調べておかなくてはならない。そのことを面接で聞かれた時にしっかりと受け答えができれば、「この学生はしっかりと勉強してきてるな」と思われるだろうし、逆に知識不足が露呈するようだと「ウチに入る気あんのかいな」と思われるだろう。そんな準備を試験の数だけやらなければならないのだ。

それは「言うは易し、行うは難し」である。

筆記試験の勉強、面接の対策、エントリーシートの作成、論文の対策、採用側の業務の下調べ、それに対する自分の考え・・・それらを試験の数だけ並行して進めなくてはならない。しかも試験は大抵、一次試験、二次試験、三次試験と続いていく。就活そのものが長丁場で、とにかく精神的に疲弊するのである。

僕自身、長男を見ていて、イマドキの就活がこんなに大変なものだとは思いもよらなかった。また一つ、「マツコの知らない世界」ならぬ「ライムパパの知らない世界」を思い知らされた気持ちだ。

そんな人知れない苦労を、公務員志望でも民間志望でも、就活生はみんなやっている。そして、家の長男も例外ではなかった。

そんな長男と二人三脚のような気持ちで応援していたからこそ、その辛さが痛いほどわかったし、いろいろと勉強もさせられた。就活予備校なんていうものがもしあったら、僕は今だったらその講師ができそうである(笑)。

以前のエントリーでも書いたことだが、親は子どもに対していつまでも心配させられるらしい。子どもの受験で心配し、その次は就職で心配し、その次は結婚、その次は孫・・・

今回、長男の就活でそのことを痛感させられた(笑)。先人は偉大である。だってホントに言うとおりになるんだもの。

長男の就活は無事に終わり、僕の心の空は晴れている・・・はずだったが、待てよ、遠くにまた雲が見える。

次は末っ子である長女の高校受験が控えているのだ。一難去ってまた一難。

僕のルーレットはまた不安色に変わることだろう。うーむ。でも、今はちょっとだけ、そのことを忘れて現実逃避してもいいですか ?(苦笑)

<了>

にほんブログ村 犬ブログ イングリッシュスプリンガースパニエルへ
にほんブログ村
※寅さんの帽子とカバン(映画「男はつらいよ」より)

<あとがき>
本来はワンコとの暮らしがテーマである当ブログなのですが、時にはそのテーマに縛られることなく、心に残った出来事をエッセイとしてエントリーしています。今回もそのような形で、シリーズで書かせていただきました。

子供たちの受験のエピソードをエントリーさせていただいたこともありました。その時は本当に苦しい親子のドラマでした。今回も、子供の就活という初めて経験を通じ、いろんなことを考えさせられ、また、苦しい思いもしました。

振り返れば、受験の時とまったく同様、苦しい親子のドラマでした。親は自分が就職する訳でもないのに勝手に心配したり悩んだり・・・以前のエントリーでも書きましたが、焼き増しした写真のように、親は子供の苦しみや喜びを自分に重ねるものなのでしょう。

物語の冒頭に書いたとおり、「心の中にいつもある曇り空」は長男の就職が決まるまで続いていました。その曇り空がようやく晴れたと思ったら今度は末っ子である長女の高校受験が待ち構えています。

家には3人の子供たちがいるので(あとライムもいます)、いろんな試練がメリーゴーラウンドのように次から次へとやってきます。それらは苦しい登山ばかりですが、後から振り返れば、人生の大切なピースなのだと気付くのかもしれません。そんな気がしています。

就活という、本来のブログテーマとはかけ離れ、かつ、非日常的なテーマでしたが、最後までお付き合いしてくれた方がいらしたら嬉しく思います。ありがとうございました。

Tag:Essay  Trackback:0 comment:0 

就活はつらいよ(第5話)

二次試験の発表は、一次試験と同様、「心配ないさー♪」という大西ライオン風天使と、「心配あるさー♪」という悪魔が、心の中でせめぎあっていた。このせめぎあいの決着は、試験結果を知るほかない。

二次試験の発表の日、僕は仕事で会議が入っていた。だから、長男からLINEで連絡が入ってもすぐには見られないだろう。しかし、これは良い兆候にも思えた。なぜなら、一次試験の発表の時も、僕は仕事の打ち合わせでなかなか長男からの連絡が見られなかったが、結果は合格だったからだ。

しかし、当日の会議は早く済んでしまい、思いがけずソワソワと長男の連絡を待つことになった。

そして、長男から来たLINEは・・・

合格を知らせるものだった。

一次試験同様、本当に、本当にホッとした。しかし、喜んでばかりもいられない。二次試験の後には三次試験(最終試験)が待ち構えている。長男には油断しないで三次試験に向けてベストを尽くすよう激励した。だが、それは言うまでもないことだったかもしれない。本人は百も承知だろう。

三次試験にも課題が出ていたので長男はそれに取り組んでいた。それと平行して、準々本命の二次の面接試験の対策(一次の筆記試験は合格していた)やエントリーシート作成にも取り組んでいたので大変だったろう。

就活はいくつもの試験や面接の対策を平行して進めねばならないので、多くの注文をさばくコックさんみたいに、目が回るほどたくさんやることがあるのだ。

本命の試験は三次試験まで山を登ってきた。これに受かれば最終合格だ。登頂まで八合目まで来ている。

公務員試験は、一次の筆記試験でたくさん不合格者が出る。二次試験でもそれなりに落ちる。しかし、三次(最終)試験まで来るとそんなに落ちる人はいない。要するに合格予定人数に対して、最終試験に臨む人はそれほどオーバーしていないのである。

だとすれば、合格の確率はそれなりにありそうではある。

しかし、逆にそこで落ちてしまったら・・・9回裏で逆転サヨナラ負けを喫するようなものだ。ショックはより大きくなるだろう。

本命の三次試験の対策をやりながら、試験日程が先にきていた準々本命の二次試験(面接)や、他のもう一つ公務員試験(すべり止め)の面接を先に受けた。

本命に合格できれば、他の試験は辞退することになるのだが、本命に合格できる保証がある訳ではない。なので、他の試験にも真剣に取り組まなければならない。大変だが、全落ちは避けねばならないので仕方ないところだ。やるべきことがたくさんあるので、長男にはスケジュールを立てて取り組むようアドバイスした。

猛暑がひるむそぶりもない夏の終わりに、本命の三次試験の日がやってきた。できる準備はしたはずだ。あとはしっかりと自分を伝えること、それだけだ。

試験に臨んでいる長男にしてあげられることは何もない。ただ、祈るだけだ。それだってパーフェクトな結果を望んでいる訳じゃない。なんとか大きなミスがなく無難に終えてくれればそれでいい、そんなささやかな祈りだった。

本命の三次試験を終えた長男に、どうだったか聞いてみると、自分の面接時間が他の受験者よりも長かったような気がする、と言っていた。

そんな話を聞くと、これは合格しているのではないか、と思えた。時間をかけて面接してもらえるということは、それだけ関心を持ってもらえてると言えるだろう。そして、採用しようとしている者に対して最終チェックをしっかりと行っている、そんな風にも思えたからだ。

だから、きっと大丈夫。そんな風にポジティブに考えていた。

とは言うものの・・・

よくよく考えて見ると、逆に、落とそうとしている受験者の面接時間を長くする、ということもあり得るのではないか、そんな気もしてきたのだ。

不合格になった受験者の面接時間が短かったら、その受験者は「あまり自分を知ろうとせずに落とされてしまった」と不満が残るかもしれない。そういう落とし方は受験者に対して失礼という気もする。だとすれば、落とそうとする受験者にこそ時間をかけて面接する、というケースもあり得るのではないか、そんな気がしてきたのだ。

結局のところ、面接時間が長いと良い兆候なのか、そうではないのか。答えは見つかるはずもなかった。一言で言えばケースバイケースだろう。

そんなことをああでもない、こうでもないと考えていると、結局、発表を待つ心境は一次試験や二次試験の時とまったく同じだった。心の中の天使と悪魔が「きっと合格してるはず」「合格しているとは限らない」と、かわりばんこに顔を出す、そんな日々を悶々と過ごしていた。

そして・・・ついに、ついに本命の最終合格発表の日がやってきた。合格発表に備えて、僕は洗車をしたり、爪を切ったりして準備していた。そういう身だしなみ的なものをちゃんとしておくと運気がアップする気がするのだ。これは、昔の巨人の名将、藤田元司監督が、ドラフト会議を迎えるにあたり、風呂に入り、爪を切り、身だしなみを整えて臨んだ結果、見事に原辰徳を引き当てたことに由来する。

最終合格発表のその日は普通の平日だったので、朝、ライムと神社まで出向いて合格祈願をして出勤した。さらに、着ていく服も受験先のイメージカラーっぽい色にした。

そして、長男の受験番号は、僕が昔、とある試験で合格した番号を連想させる番号だった。だからきっと大丈夫なはずだ。

唯一、気がかりだったのは、最終合格発表のその日、僕は会議などの予定が何も入っていなかったことだ。なぜかというと、一次試験と二次試験の合格発表の日、僕は会議や打ち合わせの予定が入っていが、結果は両方とも合格だった。だから、今までの合格の流れが変わってしまっているのではないかという不安だ。

しかし、たくさんゲン担ぎしたがら大丈夫だろう。いや、大丈夫であってくれ。

その日は仕事をしながらも、長男の合格発表のことが頭の中を埋め尽くしていた。心ここにあらずの仕事をしながらも、合格発表の時間が刻一刻と近づいてくる。緊張感で酸素が足りない。

合格発表を予想していた時刻が少し過ぎても、長男からの連絡はこない。緊張感が極限に達し、僕の表情はろう人形のようだったに違いない。

合格発表の予想時間から数分がたち、長男からLINEで「ある画像」が送られてきた。

その画像とは・・・

長男の受験番号が載った合格発表の画像だった。

結果は合格だった。

僕は本当に、本当にホッとして、涙ぐんでしまった。

長男におめでとうと連絡し、穏やかな週末を過ごせそうだと伝えた。それは偽りなく心からそう思ったことで、待ち望んだことだ。いつも不安と隣り合わせの生活が続いていたが、ようやく重い荷物を降ろすことができた。

心の中にいつもある曇り空。それが晴れた瞬間だった。

<最終話へ続く>

にほんブログ村 犬ブログ イングリッシュスプリンガースパニエルへ
にほんブログ村

Tag:Essay  Trackback:0 comment:0 

就活はつらいよ(第4話)

衝撃の事実とは・・・

な、なんと、本命と準本命の二次試験(面接試験)の日程がかぶってしまったのだ。

たくさんの面接試験の中で、そのうちのごく一部の面接がかぶる、というならまああり得る話だ。しかし、2つしかない面接がかぶるって・・・

しかも、時間までドンピシャでかぶっている。せめて午後と午前で分かれていれば・・・というところだが、時間までかぶっているとどうにもならない。

なんとか両方の面接を受けられる方法はないものか、思案してみたがどう考えても無理である。一人に変更を認めるならば、誰にでも認めなくては不公平になる。誰にでも日程変更を認める面接試験なんてあり得ない。客観的に考えて、面接を受ける側の都合で面接スケジュールを変更してもらえるなんて、万に一つもないだろう。だとすれば、準本命の面接試験は辞退するほかない。

あるとしたら、面接当日にUFO襲来とかの大事件が発生して、面接日程がずれるとか・・・まあ、そんな夢みたいなことを言っていても始まらないので、長男には、自分でコントロールできることではないし、自分に落ち度はないのだから運がなかったと思ってあきらめるしかない、できる努力をするしかない、と励ました。

長男は準本命を受けたかった、と嘆いていた。そりゃそうだ。なんてツイていなんだろう。ぶつけ場所のないやるせなさが心の中を覆いつくす。就活の神様は我々に試練を与えたもうた。

2枚あるはずだった手持ちカードが1枚に減ってしまった。これは「全落ち」の確率がアップしたことを意味する。戦線は我が軍に不利な状況になったが、全落ちだけは避ける努力を継続せねばならない。

それには、とにかく本命の面接に全力を尽くすこと、それから、その後に予定されている「準々本命」の試験も取りこぼさないように努力する、それに尽きる。

公務員試験の場合、筆記試験合格後にエントリーシートを書くことになる。エントリーシートは、公務員でも民間でも提出を求められる。一種の履歴書だが、履歴に加えて志望動機や自己PRなどを書く選考書類だ。

大昔、自分の就活時代には履歴書しかなかったけど。いつからかエントリーシートなるものを求められるようになったらしい。

就活におけるエントリーシートは非常に重要だと僕は考える。筆記試験では人物象はつかめないし、面接においてもそれを知り得るのは面接官だけだ。だが、エントリーシートは採用に関わるいろんな人が見る。そしてきっと何回も。

エントリーシートは物事の考え方や文章の構成力、表現力などを総合的に評価でき、そこからその人の人物象がかなり把握できると思うのだ。

実際、僕は仕事でエントリーシートを見たことがある(僕は採用担当者ではないが)。その時の僕の感想は「やや文章が稚拙だな~」というのが本音だった。正直、「この程度でも採用されるんだな」と思ったのだ。ま、僕の要求が高すぎるのかもしれないが。でも、そこでしっかりとした文章が書けていたら「オッ、こいつは使えそうだな」と思うだろう。

面接というのは限られた回数で限られた人しか評価できないが、エントリーシートは多くの人が何回も見て人物を評価できる。おいしいショートケーキは生クリームだけではなくスポンジ部分がうまい。就活におけるエントリーシートはケーキに例えるならばスポンジと言えるのではないか。

準本命の筆記試験合格後に長男はそのエントリーシートを一生懸命書いていた。僕はエントリーシートの重要性を知っていたので、よかったら添削してあげるよ、と長男に伝えてあった。

しかし、準本命の二次試験(面接)は日程がカブッてしまったことにより辞退することになってしまったので、途中まで仕上げたエントリーシートは二度と日の目を見ることはなくなった。

それでも、返す刀で本命の二次試験(面接)に向けてエントリーシートを仕上げなくてはならない。しかも完璧に。長男は書くのが難しいとこぼしていた。

一般にエントリーシートで求められる内容は「志望動機」や「学生時代に力を入れたこと」などだ。長男が書いたエントリーシートを見てみると、まあ普通に書けてはいるものの、僕に言わせれば「まだまだ」だ。

例えば、「○○だと思います」という文章を「○○だと思われます」と変えてあげるだけでグッと大人の文章になる。「思われます」と書くだけで客観性や謙虚さをさりげなくアピールできるのだ。

だが、それらは文章のテクニックであり、本質的なものではない。根本的には「採用したい」と思える人物であるかどうかが重要であり、それをしっかりと伝えられるかどうかだ。

僕が採用担当者だったら採用したい人物象は明らかだ。知性があることは当然として、謙虚で誠実、そして労を惜しまない人。

手前味噌かもしれないが、家の長男はそういった資質は持っている。だが、それを相手方に伝えなくては意味がない。エントリーシート全体を通してそれらのことがさりげなく伝わり、かつ、志望動機など個々の考え方がうなずけるものでなくてはならない。

志望動機は「就職先として魅力があるから」という相手をただ持ち上げるような上っツラの理由だけでは「本当の自分」は伝わらないだろう。それは川原の石ころのようにありふれたものだ。そんな、その他大勢と変わりないエントリーシートでは合格の扉の鍵になるとは思えない。

やはり、自分自身のエピソード、ストーリーがないと駄目だ。それらを通してぜひ就職したいという気持ちを伝えることができれば、きっと相手の心に響く。僕はそう思う。

エントリーシート作成に関し、僕はさまざまなアドバイスをしたが、それを通じて思い知らされたことがある。「就活はつらい」ということだ。

エントリーシートだけでも書くのが大変だ。文章を考え、何回も直し、完璧なものに仕上げなくてはならない。妥協は許されないのである。それはなぜか。

僕は長男に伝えたことがある。高校は3年、大学は4年だ。しかし、社会人は40年近く勤めるのだ。人生のうちの大きな部分を占めることになる。だから、だからこそ、就職先はしっかりと考え、そして努力しなくてはならないと。

だからこそ、後で後悔しないよう、妥協しないで仕上げなくてはならない。

長男は僕のアドバイスを受けながら汗をかきかき、なんとかエントリーシートを納得のいくものに仕上げ、本命の二次試験を迎えた。試験科目は小論文と面接だ。

筆記試験同様、小論文については僕もアドバイスしようがないが、面接については「こんなことを聞かれるかもしれない」というようなことをアドバイスしたりした。

しかし、最終的にどうしても必要なものがある。それは何か。

自分という人間を伝えることだ。

しっかりとした満点回答をスラスラとしゃべる・・・そんな就活生はなかなかいない。緊張したり、ちょっと回答につまったり・・・それはそれでいいのだ。返って微笑ましいくらいだ。

それよりも、自分の意見や誠実さを一生懸命伝える姿勢、そういったものを面接官は見極めようとしているのではないか、そう思うのだ。

結局は人間性や人柄、そのあたりが重要なのではないか・・・だとすれば、長男はきっと大丈夫だ。そう思いたいが、やっぱり心配は尽きない。

二次試験が終わった長男は、「すごく緊張して、最初の方は自分が何をしゃべったのか覚えていない」ということだった。ただし、面接自体は穏やかなムードで進んだようだ。

小論文は「中間部分がふくらみ過ぎたかもしれない」と言っていた。いずれにしろ、二次試験のボールはもう投げてしまった。そのボールが向こう側に届いたのかどうか、それはもう結果を待つしかない。

<第5話へ続く>

にほんブログ村 犬ブログ イングリッシュスプリンガースパニエルへ
にほんブログ村

Tag:Essay  Trackback:0 comment:0 

就活はつらいよ(第3話)

6月、本命の試験の前に準本命といえる試験があった。長男を車で試験会場まで送っていくのに妻と長女も連れ出した。長男の試験が終わるまで、プチ観光したり、ショッピング(妻への誕生日プレゼント)などで時間つぶしをする、という算段だ。

それにしても、試験会場付近は道路がかなり渋滞していた。それだけ受験者がたくさんいるということだろう。きっとすごい倍率なんだろうな・・・

試験の終了時刻になり、長男を迎えにいって、車に乗り込んだ長男に試験の出来栄えを尋ねると「時間が足りなかった」と疲弊した口調で言っていた。

時間が足りなかったと聞いて非常に不安になったが、長男の話では「大量の問題が出る方式」で、時間が足りなくなるのは当たり前のことらしい。なので少し不安が軽減されたが、それでも心配だ。もしこの試験に落ちるようだと、より難易度の高い本命の試験も黄信号が灯る。

帰りに長男の希望でラーメン屋さんに寄った。なぜか長男は無類のラーメン好きにすくすくと育ったのである。食べログで評価の高い店に寄り、確かにおいしいラーメンだったが、どこか心から味わうことができない自分がいた。

その翌週、とうとう本命の試験の日がやってきた。長男本人がかなり前から就職先として目指してきた公務員試験だ。本人も親も緊張感が漂っていた。しかし、ここまできたらベストを尽くす、ただそれだけである。

大学受験の時と同じように朝食のおかずに青魚の缶詰を食べ(DHAが含まれているので脳に良いらしい)、ドリンク剤を飲んで試験会場へ向かった。僕の車に長男を乗せ、妻も連れ出して3人の道中だった。

途中、上履きを忘れるなどのハプニングはあったが、会場でスリッパは借りられるだろう、ということで一応無事に送り出した。試験会場付近には試験を受けるんだろうな、っていう「それっぽい人」がたくさん歩いていて、なぜかこういう時は皆優秀そうに見えるものだ。

試験が終わって、長男に「どうだった ?」と妻が聞くと「特別すごく出来たという訳ではないが、出来なかったということもない」という回答だった。親の不安という炎にちょっぴり燃料を投下するような回答だが、妻いわく、「長男は昔から試験の出来が良くてもはっきり言わない」らしいので、一応「まあまあ出来た」と勝手に変換しておくことにした。

本命の筆記試験が終わったので本人としては一応「一区切り」という感覚だったようである。とりあえず学科の試験勉強からは開放された感があるのだろう。

とにかく、何とか一次試験(筆記試験)に合格していると良いのだが。一次試験を突破できれば次の二次試験に進むことができる。発表を待っている間、ネガティブ要因を思い浮かべては「落ちているんじゃないか」と不安になり、ポジティブ要因を思い浮かべては「きっと大丈夫」と考える。でもやっぱり不安になる・・・そんな、「卵とニワトリ論争」みたいな無限ループを、僕は延々と自問自答していた。

本命の発表の前に「準本命」の一次試験結果が発表になった。これも本命の試験同様、天に祈る気持ちで待っていたのだが、結果は合格だった。これで準本命は二次試験に進むことができた。

これは非常にホッとした。準本命の試験に落ちるようだと本命の試験もダメなのでは、という気持ちになるし、手持ちのカードがあるだけで安心感が違う。

その後、準本命に提出する書類の書き方を長男にアドバイスしたりしているうちに、本命の筆記試験の合格発表日がやってきた。

職場で午前中、打ち合わせをしているとマナーモードにしているスマホが「ビー」、と(多分)LINEのトーク着信を知らせた。きっと長男からの合否の知らせではないか、と思い、仕事の打ち合わせもどこへやら、僕の心はフワフワと中空を漂っていた。

打ち合わせが終わり、飛びつくようにスマホをチェックすると・・・

長男からの本命の筆記試験合格の知らせだった。

僕は胸をなでおろした。ゆでたまごのうす皮が綺麗にむけたみたいなスッキリ感だった。その日の午後は難しい会議が予定されていたのだが、それさえも軽やかな足取りで参加できる、そんな嬉しい知らせだった。

しかし、その後、本命から「今後の選考日程」の書類が送付され、衝撃の事実が明らかになった。

<第4話へ続く>

にほんブログ村 犬ブログ イングリッシュスプリンガースパニエルへ
にほんブログ村

Tag:Essay  Trackback:0 comment:0 

就活はつらいよ(第2話)

長男がもうすぐ大学4年生となる桜の季節、春休みで帰省していた彼は必死で公務員試験の勉強をしている・・・という感じでもなかった。家族で出掛けた花見にもしっかりついてきたし、僕の晩酌にも付き合っていたし、割とのん気に見えた。

ただ、実家では羽根をのばしているだけで、大学に通いながら実際にはしっかりやっているのかもしれないし、なにより、もう子供ではない。なので勉強のことは本人に任せておくことにした。

ただ、のん気に映る彼の様子を見ていると、一抹の不安に襲われるのではあるが。僕はどうしても自分と比べてしまうのだ。「自分だったらもっとガツガツやるのにな」、なんて思ってしまう。

僕という人間は心配性なのかもしれない。僕も過去にいろんな試験を受けてきたが、あと何点か足らずにギリギリ落ちる、そういうのだけは嫌だった。

自分が怠けた一日は、怠けなかった誰かと差が付いた一日だ。その差が本番の試験で1点の差になるかもしれない。そしてそのたった1点で落ちるかもしれない。僕はそういうのだけは嫌なので、自然と「1日たりとも怠けない」という癖がついたのかもしれない。

とは言え、地球にいる70億人には70億の個性がある。僕のやり方がすべての人にあてはまるものではないし、いずれにしても本人のやる気次第だ。そしてそれがすべてだ。なので、ああしろこうしろ、とうるさく言うつもりはなかった。

まあ、どのくらい勉強しているのか、というのは本人しかわからないし、何より僕が試験を受ける訳ではないので任せておくしかないのである。

長男が本命としている筆記試験は6月だったが、他の公務員試験も併願していて、それは5月くらいからぼちぼちスタートする。

公務員も国家総合(官僚)、国家一般、裁判所事務官、税務専門官、地方自治体職員・・・他にもいろいろある。普段は意識したことはないけど、世の中にはいろんな公務員がいて、それだけたくさんの就職試験があるのだ。

ただし、試験もいろいろあるけどカブッたりもするのでどっちを受けるか、みたいな選択もしていかなければならない。どの職種も一長一短があるので悩ましい選択となる。僕なりにアドバイスをしたけれど、最終的には自分で決めるように促した。

まあ、本命はしっかりと決めてあるので、それに受かれば他をどう受けようが関係ないのだけれど。

春先、試験のスタートは芳(かんば)しくなかった。野球で言えば初回の攻撃を三者凡退で抑えられてしまった、そんな感じだった。いくつかの試験の結果が出たけれど、どれも不合格だったのである。

本命の試験との難易度や対策の違いがあるだろうからやむを得ない部分もあるし、本人もそれほど気にしてはいないように見えた。しかし、本命ではないにしても他の試験の合格も持っていれば安心感がある。しかし、この出だしの結果は、親としては不安以外の何者でもなかった。

僕は社会人として、部下を持つ立場にある。そんな僕が客観的に考えて、自分の長男は採用したい人物だと思う。素直だし、相手の立場に立って物事を考えることができる。経験上、そういうヤツは仕事ができる。そつなく何でもこなしてくれるだろう。僕だったらそういう人間はぜひ欲しいと思うのだ。

だから、面接までたどりつけば、人柄が伝われば大丈夫なんじゃないか、という気はあった。

しかし、公務員の場合、まずは難関となる筆記試験に合格しなければ話にならない。スタート台にすら立てないのである。だから、公務員になるためには筆記試験の勉強をしっかりやることがまずは第一歩となる。

本当に試験勉強を頑張ったのであれば、本命以外の試験も複数合格できるはずだ。事実、そういう人はたくさんいるはずだし、妻の知り合いの娘さんも過去に難関の公務員試験に複数合格したという話も聞いた。

長男が実家に帰省している時、試験勉強はしているが、テレビをつけながらだったりするので僕としてはどうも不安になる。

「テレビ観ながらで大丈夫なのか」と僕の心配を長男にぶつけたりしたこともあった。とにかく「全落ち」だけは避けねばならないと諭した。

万が一「全落ち」したらどうなるか。

その時点で民間の内定は持っていないので、民間の秋採用に申し込むか、就職浪人して来年も公務員試験を受けるか、の2択となる。

就職浪人は1年間という時間がもったいないし、スタートが1年遅れると生涯賃金もかなり差がついてしまうと聞いたことがある。

なので、「民間の秋採用に応募」という選択になると思うが、秋採用というのも厳しい現実が待っているはずだ。「春に民間を受けておけばもっといい会社の内定が取れたはずなのに」という結果になるかもしれない。

そして、公務員試験の勉強に費やした時間は無駄になり、大学の公務員講座にかかった費用もドブに捨てたということになる。

長男にそんな話をして、とにかく「全落ち」だけは避けるようアドバイスした。長男も自分の人生がかかった登山だ。重々わかってはいたはずではあるが。

<第3話へ続く>

にほんブログ村 犬ブログ イングリッシュスプリンガースパニエルへ
にほんブログ村

Tag:Essay  Trackback:0 comment:0 

プロフィール

ライムぱぱ

Author:ライムぱぱ
ライム:2008年6月3日生まれのイングリッシュ・スプリンガー・スパニエル(♀)

ようこそお越しくださいました。
ゆっくりしていってくださいね!

このブログについて
愛犬ライムとのスプな生活のエッセイをつづったり、4コマ漫画的なコミックを描いたりしています。 イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルの性格や特徴、グッズなどもご紹介しております。 なお、当ブログはリンクフリーです。リンクしていただいた場合、こちらもリンクしますので、コメント欄からお知らせください。
LINEスタンプ
ライムがスタンプになりました !
ブログランキング
よろしければクリックを
にほんブログ村 犬ブログ イングリッシュスプリンガースパニエルへ
ページビュー
Twitter
検索フォーム
QRコード
QRコード